第2回デジタルシティ京都会議 国際シンポジウム (2001.10.18)

アジアからのネット革命
Our Future of Digital Cities
examining four different perspectives: global, regional, national and local

会津 泉
アジアネットワーク研究所

デジタルシティは世界中に(少なくとも, インターネットへのアクセスが可能な地域に)広がっている.インターネットは,物理制約を受けず, コストもかけず,瞬間的に時空を超えることができる.これによって, 民族や地域観, 思想といった伝統的な社会通念に捕らわれない新しい社会領域が切り拓かれるのではないかと, 人々は驚きと感嘆のまなざしを向け始める. しかし本当に感心すべき方向に向かっているのだろうか. ここで根本的な問題点をいくつか挙げてみよう.
インターネットや情報通新技術(ICT)に関する政策・標準化の分野において,グローバルな意思決定を真に実現するにはどうすればいいのか. 全体性の中に,地域性はどのように位置づけられ,機能するのか. われわれアジア人はデジタル社会の中でも何らかの共通の価値観を持っているのだろうか. 先進地域と後進地域には,グローバルな意思決定への平等な参加が保証されるのだろうか.
また, デジタルシティにおいて国民性はどこまで機能するだろうか. グローバルに考えて行動するにはどうすればよいのだろう. グローバルに考え,かつローカルに行動するには? ある地域を舞台としたコミュニティネットワーク活動を,国境を超えた別の活動とどうつなげてゆくか. つなげるための共通の基盤はどこにあるのか.
これらの問いについて, 日本と韓国に焦点を当てながら, ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers=ドメインネームとIPアドレスの割り当てに関するインターネット法人)や G8共同プロジェクトでの経験, そしてアジアでのネットワーキング活動経験を通して考えていきたい.

Izumi Aizu 会津泉:アジアネットワーク研究所代表, 国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)主任研究員. 1991年GLOCOM企画部長, 1993年ハイパーネットワーク社会研究所(IHNS)企画部長. 1997年マレーシアを本拠地としてアジアネットワーク研究所を設立. アジアのネットワーク社会についての研究と実践を開始. (http://www.anr.org/)

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