国際シンポジウム「生活世界のセマンティクス」 (2004.12.9)

SmartWeb: 環境知能のためのセマンティックWebサービス

Wolfgang Wahlster
ドイツ人工知能研究所所長

最近のモバイルブロードバンド通信およびセマンティックWeb技術の発達によって,先端的な個人化・局所化機能を持つ革新的なインターネットサービスが可能になりつつある.SmartWebプロジェクト(2004〜2007)は,モバイル機器上の分散的で構成可能なセマンティックWebサービスのマルチモーダルなユーザインタフェースのための基盤作りを目指す.SmartWebは,機械に理解可能なセマンティックなWebページのコンテンツを使って,現在の検索エンジンの次のステップである知的な質問応答を行なう.人手によるマークアップに時間とコストがかかるため,意味的アノテーションを施されたWebページはまだ非常に少ないので,SmartWebでは,先進的な言語処理の技術と情報抽出の手法を用いて,HTMLやXMLで書かれた従来のWebページを自動的にアノテーションする.SmartWebは,文脈適応型のユーザインタフェースを提供することにより,車やバイクのドライバー,歩行者,スポーツの観客などのさまざまなユーザを支援することができる.2006年のドイツでのFIFA ワールドカップにおいて,モバイル娯楽情報サービスをサッカーファンにいつでもどこでも提供するデモを計画である.

Wahlster ヴォルフガング・ヴァールシュター博士はドイツ人工知能研究所(DFKI Gmbh) の所長兼CEOであり,ザールランド大学計算機科学科の教授.2000年に同大学の計算言語学教授に就任.自然言語処理と知的ユーザインタフェースに関して160件以上の学術論文と7冊の著書がある.AAAI,ECCAI,およびGIのフェロー.科学技術における著しい革新に対して毎年授与されるドイツ最高の科学賞であるドイツ未来賞を2001年にドイツ連邦共和国大統領から受賞.2003年にドイツの計算機科学者として初めてスウェーデン王立アカデミーの外国人会員に選出される.現在の研究は,マルチモーダルで鋭敏なユーザインタフェース,ユーザモデリング,埋込型対話エージェント,スマートナビゲーションシステム,セマンティックWebサービス,資源適応型認知工学など.

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