富山県山田村における環境の可視化

富山県山田村の現状として,高齢者が多くかつほとんどの高齢者が農業に従事しており,さらには,各世帯が離れた距離で暮らしている.また,住民らは村の環境に関して知識が乏しく,効率的な農業が行われていないという問題を抱えている.そして,自然環境の保護という目的から,環境をグローバルな視点で効率よく保全したいが,住民の自然保護に対する認識がそこまで至っていないのが現状である.山田村からの要求には以下の4点がある.

  1. 寝たきりの高齢者を役場から定期的に見守りたい.
  2. 作業中の高齢者を見守りたい(高齢者が農作業中に行方不明になるという問題が頻繁に発生している).
  3. 村の環境を住民(高齢者)がグローバルな視点から捉えられる仕組みが欲しい.
  4. 遠隔農業に発展する仕組みが欲しい.

これらの要求を受け,我々はこれまで培った基盤技術を駆使したシステムを山田村に提供していく.これは,知覚情報基盤の実証プロトタイプである,高速ネットワーク,全方位カメラ及び環境センサを用いた山田村環境可視化システムである.

このシステムでは,特定の農地に設置された全方位カメラと環境センサにより,農地を遠隔からモニタリングするとともに,全方位カメラによる人間の行動追跡によって,農作業者を遠隔からモニタリングする.また,環境センサのデータを合わせて利用することにより,遠隔農業や環境保全などにも利用する.さらに,Town Digitizingによる村の可視化を図ることにより,遠隔地からの村の訪問を可能とし,村の活性化を促す.

最後に,この成果展開は,2001年11月より始動し,現在もシステム導入に向け,高速ネットワークの整備ならびに,システムの開発・研究を行っている.これまでに,数台の全方位カメラを役場などに設置している.

報道記事:

サトウキビどんな味?, 富山新聞,2001年12月12日

奄美の友人交流“起動”,北陸中日新聞,2001年12月12日

「360度カメラ」を農業管理に活用,北陸中日新聞,2001年12月11日

連絡先:

大阪大学大学院工学研究科 石黒浩 ishiguro at ams.eng.osaka-u.ac.jp
科学技術振興機構 デジタルシティ研究センター 小泉智史 satoshi at digitalcity.jst.go.jp


索引へ戻る